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カスタマーレビュー
おすすめ度:
再び内乱…そしてローマ帝国衰退がはじまる
(2008-08-30)
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの後を継いだ実子コモドゥスが暗殺され、帝国はマルクスに仕えていた武将たちが北から南から東から帝位就任に名乗りをあげます。そのなかで最終的にライバルに競り勝ったのは、北アフリカ出身のセプティミウス・セヴェレス。
このたたき上げの軍人皇帝は、軍団兵の待遇を改善したことで「(結果的に)ローマ帝国を軍事政権化」(塩野氏)したと言われます。そして、微妙なパワーバランスのもとにあったために平和が維持されていた仮想敵国パルティアを自ら攻めたり、ブリタニア(現イギリス)から蛮族を一掃しようと戦争を始めたり、と主に軍事面での施策が中心となり、結局、ブリタニアの地でその生涯を終えます。そして死の床でこう言ったといいます。「わたしはすべてやった。…つまりは国家の要職はすうべて経験し、しかも充分に勤めあげたという自信ならばある。だが…そのすべてが無駄であったようだ」
塩野氏のセヴェレス評は功罪相半ばす、の観はありますが、戦場の前線で、しかも、燦燦と太陽が降り注ぐ故郷とはかけ離れた暗く寒く雨の降り注ぐ北イングランドで死んだ一事だけでもメランコリーになる、と書いています。
その息子カラカラが弟ゲタの肖像をことごとく消させたというエピソードとともに、ローマ帝国衰亡の道が幕をあけた観のある一冊でした。
続刊が途切れています
(2008-07-28)
ローマ帝国の歴史をひも解くことは、政治体制、法体系、公共投資のあり方等いろいろな面でアメリカを含む西欧社会の根底にあるものについての理解の手助けとなり、目から鱗です。通史を物語風に読み安くした上に、歴史学の通説をカバーし、さらに作者の解釈を加えられており、一般教養書としては出色でしょう。しかも文庫化で求めやすくなり、私自身も含めて、興味はあるがわざわざハードカバーの厚い単行本をを14巻読む気にならない層にまで読者層を広げることができたと思います。惜しむらくは、塩野氏の文章の句読点の使い方に多少難点があって文章を読みにくくしている点、それから2007年8月を最後に文庫続編が出版されていないことです。新潮社さん、残っている単行本3巻分早く文庫化してください。
内乱期ではあるが人材の宝庫を感じさせる
(2007-10-29)
皇帝コモドゥスが暗殺された後、帝国は内乱へと突入していくが、それでもなをバラエティ豊かな人材による群雄割拠ぶりは読んでいてわくわくしてくる。
しかもエリートと軍人たたき上げが混ざり合っていることで、余計ローマ帝国の人材登用と実力主義によるチャンスがあった国かがわかって面白い。
結局皇帝となったセヴェルスが死に際に「私はすべてやってきた。ただそれもいまとなっては何の意味も無い」といったのが興味深い。早くも自分の作り上げた皇統の終焉を見ていたのかもしれない。
弟を殺し全ての肖像の顔を削り取らせた兄カラカラの怨念すら感じる。
日本人必読の書。
(2007-09-11)
明治以降、日本人は、脱亜入欧というスローガンを掲げてきたわけだが、その是非は置くとして、それを掲げる以上は、最低、「ギリシャ・ローマ」と「聖書」くらいは(入信しないまでも)理解しておくべきではなかったか・・・というのが、常々の私の考えであった。
ただ、聖書はともかく、ヨーロッパ文明の基礎となった「ギリシャ・ローマ文明」については、これを、きちんと、系統立てて、しかも、基礎知識がない日本人にもわかるように詳述した良書は皆無であったのである。
そこへ、この本が出た。
読んでみると、読みやすいし、わかりやすい。
日本人は、必ずしも、欧米に同化する必要はないが、この書は必読の書であると思われる。
おすすめ度:
再び内乱…そしてローマ帝国衰退がはじまる
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの後を継いだ実子コモドゥスが暗殺され、帝国はマルクスに仕えていた武将たちが北から南から東から帝位就任に名乗りをあげます。そのなかで最終的にライバルに競り勝ったのは、北アフリカ出身のセプティミウス・セヴェレス。
このたたき上げの軍人皇帝は、軍団兵の待遇を改善したことで「(結果的に)ローマ帝国を軍事政権化」(塩野氏)したと言われます。そして、微妙なパワーバランスのもとにあったために平和が維持されていた仮想敵国パルティアを自ら攻めたり、ブリタニア(現イギリス)から蛮族を一掃しようと戦争を始めたり、と主に軍事面での施策が中心となり、結局、ブリタニアの地でその生涯を終えます。そして死の床でこう言ったといいます。「わたしはすべてやった。…つまりは国家の要職はすうべて経験し、しかも充分に勤めあげたという自信ならばある。だが…そのすべてが無駄であったようだ」
塩野氏のセヴェレス評は功罪相半ばす、の観はありますが、戦場の前線で、しかも、燦燦と太陽が降り注ぐ故郷とはかけ離れた暗く寒く雨の降り注ぐ北イングランドで死んだ一事だけでもメランコリーになる、と書いています。
その息子カラカラが弟ゲタの肖像をことごとく消させたというエピソードとともに、ローマ帝国衰亡の道が幕をあけた観のある一冊でした。
続刊が途切れています
ローマ帝国の歴史をひも解くことは、政治体制、法体系、公共投資のあり方等いろいろな面でアメリカを含む西欧社会の根底にあるものについての理解の手助けとなり、目から鱗です。通史を物語風に読み安くした上に、歴史学の通説をカバーし、さらに作者の解釈を加えられており、一般教養書としては出色でしょう。しかも文庫化で求めやすくなり、私自身も含めて、興味はあるがわざわざハードカバーの厚い単行本をを14巻読む気にならない層にまで読者層を広げることができたと思います。惜しむらくは、塩野氏の文章の句読点の使い方に多少難点があって文章を読みにくくしている点、それから2007年8月を最後に文庫続編が出版されていないことです。新潮社さん、残っている単行本3巻分早く文庫化してください。
内乱期ではあるが人材の宝庫を感じさせる
皇帝コモドゥスが暗殺された後、帝国は内乱へと突入していくが、それでもなをバラエティ豊かな人材による群雄割拠ぶりは読んでいてわくわくしてくる。
しかもエリートと軍人たたき上げが混ざり合っていることで、余計ローマ帝国の人材登用と実力主義によるチャンスがあった国かがわかって面白い。
結局皇帝となったセヴェルスが死に際に「私はすべてやってきた。ただそれもいまとなっては何の意味も無い」といったのが興味深い。早くも自分の作り上げた皇統の終焉を見ていたのかもしれない。
弟を殺し全ての肖像の顔を削り取らせた兄カラカラの怨念すら感じる。
日本人必読の書。
明治以降、日本人は、脱亜入欧というスローガンを掲げてきたわけだが、その是非は置くとして、それを掲げる以上は、最低、「ギリシャ・ローマ」と「聖書」くらいは(入信しないまでも)理解しておくべきではなかったか・・・というのが、常々の私の考えであった。
ただ、聖書はともかく、ヨーロッパ文明の基礎となった「ギリシャ・ローマ文明」については、これを、きちんと、系統立てて、しかも、基礎知識がない日本人にもわかるように詳述した良書は皆無であったのである。
そこへ、この本が出た。
読んでみると、読みやすいし、わかりやすい。
日本人は、必ずしも、欧米に同化する必要はないが、この書は必読の書であると思われる。
